■紀伊半島・黒潮の恵み
和歌山県は紀伊半島の西南、本州の中でも最南端に位置し一年を通じて気候が温暖な土地です。そしてその海岸線は600キロメートルを超え、「木の国」の名の通り緑豊かな森林が残っており、近年世界遺産に指定された「熊野古道」に象徴される歴史と文化の宝庫でもあります。
その和歌山の海が最も影響を受けてるのが、紀伊半島の沖合いを流れる黒潮です。黒潮はフィリピン東部から北上してくる暖流で、南方からたくさんの生物を運び和歌山に温暖な気候をもたらしているのです。そのため、はるか南の島に行かなくても、海中では色とりどりな熱帯魚や珊瑚の群生がみられるのです。本州の中では、この和歌山が最も黒潮が接近する海に当てはまるでしょう。そして関西の首都圏から一番近くて綺麗な海として、古くから多くのダイバーに愛されてきたのです。
また、和歌山県はとても南北に長い県です。特に御坊市から南には数多くのダイビングポイントが点在していて、 白崎海岸・田辺・白浜・すさみ・串本と有名なエリアが目白押しです。
そして、基本的には南に向かうほど水温・水中環境ともに南国に近づいていくのです。同じ和歌山でも個々のポイントによって特長があり、それぞれの面白みがあります。まさに和歌山の海は、ダイバー天国なんです。
<季節来遊魚の現れる海>
太平洋岸を流れる黒潮は琉球列島の西側を北上し、足摺岬沖・室戸岬沖を経て和歌山県南部の沖を通過します。この黒潮に運ばれる形で、東南アジア・沖縄地方で見られる熱帯魚が卵もしくは稚魚の段階で1年中和歌山の海に流されてきてるのです。ただ、これらの熱帯魚は水温が低いと生きていけません。水温の高くなる夏の間に育ち、ちょうど人間の目につく大きさになるのが秋くらいで、その多くは冬の水温に耐え切れず死んでしまいます。そしてこれらの生物たちは、専門的な言葉では「無効分散」、一般的には死滅回遊魚と呼ばれていますが、結構悲しい言葉ですので個人的には「季節来遊魚」という言葉を使ってます。
■ホームグラウンド:南紀白浜
ダイブサプライのホームグラウンドは南紀白浜の海です。
白浜町は和歌山県のちょうど真ん中くらいに位置していて、和歌山市内からだと1時間くらい、串本までは1時間ちょっとかかります。
白浜のダイビングポイントは約15ヵ所で、代表的なものに沈没船ポイントなどがあります。どのポイントも港から近いのが特徴的で、近いところで5分、遠いポイントでも10分くらいで着いてしまいます。ダイバーの大敵の船酔いが心配な方や、初心者ダイバーにはまさにうってつけのダイビングエリアなのです。これほど初心者が潜りやすいポイントは、そうないのでは?と思います。
もちろん、上級者が満足できるディープなポイントや地形を楽しめるポイントなどもあります。
そして季節的な観点から見れば、トップシーズンの夏場は南風が強くなりがちなんですが、多くのポイントが南風に強い!のです。白浜の位置する地形を見ればわかるのですが、主要ボートポイントがある鉛山湾、臨海ビーチがある田辺湾ともに南を背にしてるためです。だから海が穏やかな日が多いんですね。
逆に、北西の風が強くなる冬は風を避けれる円月島ビーチがありとても便利です。ボートポイントも近くて北風に強いため、少々の波ではなかなかクローズにならない実力があります。
水中のほうはというと、やはり黒潮の影響で熱帯性の生き物と温帯性の生き物が混在しており、とてもバラエティ豊富な生物層を楽しめます。特に沈没船ポイントの魚影は濃く、まるで生けすの中を泳いでるような感覚に囚われるでしょう。
一般的に魚の数が減る冬場でも、このエリアでは熱帯魚が越冬できるため、カラフルな魚を観察することができます。人気のカエルアンコウ、ウミウシの多さにもいつも驚かされます。
みなさんも是非この素敵な海をホームグラウンドとして活用していただきたいと思います。
■南紀白浜の水温情報
1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | |
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上旬 | 18 | 17 | 16 | 18 | 20 | 22 | 25 | 27 | 27 | 27 | 23 | 20 |
中旬 | 18 | 17 | 17 | 18 | 21 | 23 | 26 | 28 | 27 | 25 | 22 | 19 |
下旬 | 17 | 16 | 18 | 20 | 22 | 24 | 27 | 28 | 27 | 24 | 20 | 17 |
※データ:2003年度白浜沖水中温度
黒潮の流れる様子 → 農林水産総合技術センターホームページ
上の表からわかるように、白浜沖の海水温は驚くほど高いことがわかります。
一番寒い2月でさえ、15度を下回る日は少ないのです。大陸からの寒波がやってきたときは気温が5度くらいにまで下がってしまいますが、海水温は常に一定の温度を保持してるのです。
一年を通してダイバーが快適に潜ることができ、熱帯魚が越冬できるのも納得できますね。